お借りした家庭向けのレーザー加工機をレビューの続きです
参考:家庭用レーザー加工機を使って革の焼印にチャレンジ
前回、レーザー加工機を使って焼き印にチャレンジしてみましたが、レーザーの出力を最大にすることで革を裁断することもできそうです。
ということで、今回はレーザーを使って革を裁断してみました。
レーザー加工機で革を裁断する
レーザー加工機は、下記の3つの設定条件によって刻印や裁断など使い分けることができます
- レーザーの出力
- レーザーの照射時間(ヘッドの移動速度)
- 繰り返し加工
色々な条件で革を切断して条件を出していきます。
レーザーの出力
革を焼き切るレーザー光の強さです。
ソフトウェア上で0~100%で調整することができます。
出力が強すぎると熱が周りに広がり、革が焦げてしまいます。
その場合、出力を弱めるか、加工速度を速くすることで対応できます。
※加工速度は下記で説明
いろいろ設定を変えて試行錯誤してみましたが、1mm以上の革の裁断の場合100%で問題ないようです。
レーザーの照射時間(ヘッドの移動速度)
レーザーを長く照射するほど高温になるので低い出力でも裁断することができます。
ただし、あまり遅すぎると周りに熱が伝わり、切断する線が太くなってしまいますし、革の銀面も焦げてしまいます。
できる限り高速で裁断した方が良いのですが、あまりヘッドを高速で動かすと、機械が振動して逆に精度が悪くなったりします。
この辺はいろいろ条件を変えて最適な速度を割り出すしかありません。
繰り返し加工
同じ箇所を何度も繰り返して加工することで、少しづつ焼き切ることができます。
つまり、弱いレーザー出力でも革を裁断することができるので、設定次第では革の焦げを最小限にとどめることができる訳です。
結論
革の裁断の加工条件としては出力は100%、で速度と繰り返しは革の厚さによって焼成するのがベストということが判明
今回、ヌメ革で加工条件を出しました。
革のハギレで加工テストし、ある程度、裁断できる加工条件を見つけることができました。
ただし、革の種類によっては加工条件も変わりますか参考にはならないかもしれません。
(一応、加工条件は記載しておきます。)
本ヌメ革1mm厚
- スピード300
- パワー100
- 繰り返し回数3~4
本ヌメ革2mm厚
- スピード300
- パワー100
- 繰り返し回数5~8
加工
パソコン制御の加工なので精度の高い裁断が可能。
型紙データを入力するだけで本来は難しい曲線や円形の裁断もスムーズな仕上がりでした。
ちなみに、「CADを使ったレザークラフトの型紙の作り方」で紹介したDXF形式のデータをそのまま取り込むことができるので型紙を設計したらそのまま加工することができます。
しかも、レーザーの出力を調整すれば同時に焼き印も可能。
(↓写真参照)
あらかじめCADデータに菱目打ちの穴をマーキングしておけばガイドラインを引かずに菱目打ちを使うことができます。
ソフトの設定
レーザー加工のソフトは一度に複数の出力設定を登録して加工することができます。
例えば高出力で切断。低出力で刻印という具合に使い分けられます。
革をセット
レーザー加工機は強い光をレンズで一点に集めることで加工します。
つまり、焦点距離がとても重要で、焦点距離がズレるとピンボケするので出力が弱くなったり切断線が太くなったりします。
革をセットするときはできるだけ平らな状態になるようにしましょう。
丸まっている革は加工前に伸ばした状態でしばらく放置し、まっすぐな状態にし、場合によってはテープで固定すると良いです。
また、レーザーが貫通するのでそのままでは机まで焼かれてしまいます。
そこで、下の写真のようにアルミ板を敷いてみました。
革の加工
データを入力し、加工条件を入力、革をセットしたら実際に加工してみましょう。
パソコンで制御するレーザー加工機なので、円加工も正確です。
ボタンを押して待っているだけで、革の裁断が終わりました。
レーザー加工機の切断面
革をレーザーで「焼き切る」ため、切断面は気になるところ。
確認してみるとやはり焦げていました。
でもこれはこれで味わいがありますし、焦げが不要ならやすり掛けすることで取り除くこともできます。
寸法精度は?
CADで作図した直径15mmの円を切断してみました。
大よそ15mmですが、写真の通り若干小さめです。
レーザー光で焼かれた分、サイズが小さくなってしまったようです。
目測で0.5mmといったところでしょうか?
ちょっと専門的な話になってしまいますが、このレーザー加工機はX軸とY軸の直角度は調整していない(出来ない)ので厳密にいえば円ではありません。
ですが、レザークラフトで使うには問題ない範囲かと思います。
意外な不具合
革を焼き切るため、革を焦がした臭いが部屋中に充満します。
加工中は喚起必至。
加工条件によっては煙が大量に出るので火災警報器が作動するのでは?と心配になります。
↓スマホのライトを当てて煙を見えやすくしました。
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