前回「ヌメ革コインケース」で実践した、ねじ捻を用いた”なんちゃって捻”が意外と良い感じだったので本物の玉捻が欲しくなり買ってしまいました。
↓こちらは”なんちゃって捻”
そもそも捻とは?
捻とは”ねん”と呼びます。お恥ずかしい話ですが、管理人は最近まで「ひねり」だと思っていました。
調べたら「ねん」と呼ぶのだそうです。
つまり、ネジ捻は”ねじねん”と呼びます。
前置きはさておき、捻とはコバ処理に使用するレザークラフトの道具の一つで、熱した捻をコバに押し当て、コバの耐久性を上げる処理のこと。
副作用としてコバ口に平行なラインが入り、見た目も洗練されたデザインになります。↓これはなんちゃって捻です。参考までに
本物の捻を使ってみたい!
近くのクラフトショップにはなかったのでネットで購入
仕立て工具 「捻」
届きました。玉捻です。
先に溝ができていますね。
写真の向かって右側より、左側のエッジが高いのですが、ここにコバを宛てがい、捻を引いていきます。
(手に持つと、右側のエッジが高くなります。右利きの工具ですね。)
この手の工具は自分で修正しないと使い者にならなかったりしますが、溝も割りとスムーズに仕上がっています。
一応「ピカール」という金属用の研磨剤を使って磨きました。
ピカールをティッシュに少量塗布して磨きます。
もともとの大きな傷があるので完璧ではありませんが小さなキズはきれいに落ちています。捻の滑りも良くなりました。
捻を使ってみる
早速捻を使ってみました。
持ち方は革包丁のように持ちます。
そのまま玉捻をかける
まずはヌメ革の端切れを使い、そのまま捻をかけてみました。
コバから平行に線が入りました。
何もせずに押し付けただけなので、なんちゃって捻と同じです。
熱してみる
本来の使い方はアルコールランプを使って熱してから使います。
初めてなのでどれくらい温めればよいのか、見当が付きません。
とりあえず適当に温め、捻をかけてみました。
写真では違いがよくわかりませんが、捻のラインの色が濃くなり、溝も深くなりました。温めることで革が締まり、手触りも固くなっています。
ロウを使ってみた
コバにロウを塗り、捻をかけると耐久性が高くなります。
こちらが本当の使い方。
使用したロウは縫い糸のロウ引きに使うもの
捻を適当に温め、ロウをほんのちょっと塗布します。
この時温めすぎるとロウがサラサラになり、革に吸収されてしみになってしまいました。
少しとろみが出るくらいが一番塗りやすかったです。
写真では見にくいですが、ロウは少しでOK
このままコバに塗布していきます。ロウがなくなったら足しながら塗っていきます。
こちらはロウ塗りが成功したモノ。
全体的にロウが均一に塗れています。
失敗するとどうなるかというと、銀面にロウのシミができてしまいます。
↓温度も高く、ロウがサラサラの状態で塗布したのが失敗の原因です。
捻についたロウをよく落とし、加熱してから捻をかけてみると、磨いてもいないのに艶が出ています。
しかも手で触ってみるとコバが固く締まっていて、耐久性もありそうです。
ただ、何回か練習してみたのですが、捻の温度管理が難しいです。
熱しすぎてしまうとご覧の通りコバが焦げてしまいました。さすがに捻を触って確かめて見るわけにも行かず、こればかりは経験を積む必要がありそうですね。
コバワックスも試してみた
コバワックスなるものが売られているのでロウ引き用のものとどこが違うのか試してみました。
試した感じですが、コバの見た目はほとんど変わらず。触った感じも全く同じでした。
ただ、コバワックスのほうがはるかに溶け出す温度が高かったです。
ロウ引き用のロウは50℃くらい?(正確に温度は測っていません。)で溶けましたが、コバワックスの方はしばらく熱しないと溶けませんでした。
「コバワックス+加熱捻」、「ロウ+加熱捻」、「加熱しただけ」、「押し付けただけ」の4つの条件でコバ処理したものを並べてみました。
コバワックス+加熱捻
ロウやワックスで処理したものは、見た目や手触りはほぼ同じ。
ロウによってコバが固められ、丸みが出ています。
ロウ+加熱捻
加熱しただけ
加熱しただけの捻ではコバの角は尖っていますね。
ただ押し付けただけ
何もしない捻で押し付けただけのコバは角が鋭角で何も変化はありません。
それぞれの処理を並べて比較
左から「コバワックス+加熱」、「ロウ+加熱」、「加熱」、「何もなし」です。
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