突然ですが、革砥(かわと)ってご存知でしょうか?
何のことかわからないという方のために簡単に説明すると、研磨剤を擦り込んだ革のことで、板などに張り付けた状態で使用します。
刃物はどんなに「切れる」と評価のある刃物でも、使えば必ず刃が丸くなり、切れ味はどんどん落ちていきます。
刃物が切れなくなったら砥石で研げば切れ味が回復するのですが、そのままでは微細な研磨傷で刃面が荒れていて実は「真の切れ味」にはなっていません。
刃物を真の切れ味にするには、仕上げに革砥を使って刃面を滑らかにすれば良く、刃物の切れ味が格段に向上します。
革砥を使うときの注意点
革砥は、あくまで仕上げに使うもので、切れなくなった刃物を革砥だけで切れ味を回復できるものではありません。
600番~1000番くらいの中砥で中研ぎし、2000番~3000番くらいの仕上げ砥でしっかり刃先を仕上げてから革砥を使うことで、本当の切れ味が作れます。
ただし、「少し切れ味が落ちてきた」という程度なら、革砥だけで切れ味が回復することがあります。
革砥を自作してみよう
革砥は製品として販売されていますが、2000円~3000円と結構な値段です。
革砥は革のはぎれと木の板があれば簡単に自作できるので、作ってしまった方が安上がりです。
Bush Craft(ブッシュクラフト) オールサイドパドルストロップ(革砥) 03-05-bush-0001
用意する物
革のはぎれ(ヌメ革・タンローがよい)
木の板(市販の砥石程度のサイズがあれば十分)
青棒(研磨剤です。)
ミシンオイル(研磨剤を馴染ませるのに使います。)
↓革や木の棒は家にあるものを使いました。
購入したのは青棒だけ
作り方
木の板を使いやすいサイズに切断した後、革のはぎれを床面が上にくるように接着します。
大きな一枚革で作る必要はありません。革の厚さが同じなら問題ないので、下のようにパッチワークにして革を有効に利用しましょう。
床面を磨いている場合や硬い場合はカッターの背を使って毛羽立てます。
今回は床面が未処理だったのでそのまま利用しました。
接着剤が固まったら革の表面に青棒を擦り込んでいきます。
一通り青棒を擦り付けたら、ミシンオイルを塗布し、さらに青棒を擦り付けて革全体になじませていきましょう。
革全体に均一に擦り込んだら完成です。
(余分な油分がある場合はティッシュなどに含ませて除去しましょう)
革砥の使い方
革砥の使い方はとっても簡単。
砥石と同じように革砥に刃物を宛がい、刃先が滑らかになるように刃元側へ、一方向に擦るだけ。
この時、力を入れると逆に刃が丸まってしまうので、軽く添える程度の力加減で研磨します。
革砥の効果
革砥でどれくらい切れ味が改善するのか早速試してみました。
試し切りで使ったのはオルファ 立ちナイフです。
このナイフ、結構使えます。革を切る場合、普通のカッターナイフより切れ味が鋭く、刃先がスーと革に滑り込むように切れていきます。
本来、切れなくなったら刃を交換して使うものですが砥石で砥げば再び使えるようになります。
革砥による刃先の変化
砥石で仕上げた刃面と革砥で研磨した刃面を比べてみました。
下の写真は、砥石2000番の砥石でたちナイフを砥いで仕上げた刃面の拡大写真です。
一見滑らかに砥げた様に見えますが、画像を拡大していくと、刃先がギザギザに荒れていて、まるで刃こぼれしているようにも見えます。
次に、革砥で磨いた刃先の拡大写真です。
革砥によって刃先部分が研磨され、砥石でできた微小な傷が消えているのが分かります。
表面がとても滑らかになっているのが分かります。
試し切り
刃先の切れ具合が一番左右する革の漉き(すき)をして比較してみました。
2000番の砥石で砥いだだけのもの
革の床面はけば立ちやすく、柔らかいため刃が食い込んでいきません。
力任せに漉いたので革が伸びてしまいました。
革砥で仕上げたもの
こちらはほとんど力を入れず、スムーズに刃が滑り込んでいきます。
同じ道具で漉いているとは思えない切れ味です。
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