ジャンパーホックってなんでこんなに取り付けにくいのでしょうか?
ばねホックやカシメはさほど失敗しないのに、ジャンパーホックだけはなぜかうまくいきません。
レザークラフトでジャンパーホックを使ったことがある方はホックの打ち込みで苦労していると思います。
特にジャンパーホックのメス側(上側)は、どんなに慎重に打ち込んでも屈折して足がくにゃぐなに曲がってしまいまっすぐ打てません。
↓足が曲がってしまったホック
↓私が失敗したジャンパーホックの取付例です。これでもうまく取り付けられた方ですが、見ての通り上下のパーツが曲がって取り付けられています。見た目が悪いだけでなく、実際に使ってみると引っかかるような感じで使い心地も非常に悪いです。
きれいに打ち込める方法を発見
試行錯誤すること1時間!安定してきれいに打ち込める方法を発見したので情報を公開します。
特に冶具などは使わず、ホック打ちと打ち台を使って手打ちできれいに取り付けられます。
↓こちらが試行錯誤して取り付けたジャンパーホック
縦方向から見ると微妙にズレていますがほとんど外見上わかりませんし、使用上もまったく問題ありません。
なぜ真っ直ぐ打てないのか?
そもそも、これはジャンパーホックの構造に問題があるから。
下にジャンパーホックのメス側(上側)のピン断面図を模式化したものを示します。
ジャンパーホックのピン側は湾曲した頭の中が空洞になっていて、カシメ内を打ち込むことで最初にこの空間が潰れ、その時に微妙に足が曲がってしまうのです。この不安定な構造がジャンパーホックの取付を難しくしている原因となっていることに気が付きました。
この微妙にズレた足のまま、ホックを打ち込むとさらに足が曲がってしまい、結果的にホックが大きく曲がってしまうという理屈です。
もし、下の図のように空間が潰れるときにピンが真っ直ぐ打ち込めれば、その後ピンを強く打ち込んで固定しても、比較的足が曲がらないことに気が付きました。
実践
理屈はわかりましたが実際にどのように真っ直ぐ空間を潰してジャンパーホックが正しく取り付けられるか検証してみることにしました。
検証方法
まず、ホックを組み込まず、打ち台に頭だけを乗せ、軽く打ち込んで空間を潰してみました。
もしくは、金属パイプ(ホームセンターなどで売られている)を使って叩いても良い。
打ちピンの場合、強くたたくと足が広がってばねホックが組み付かなくなってしまいますが、金属パイプを使った方が強く叩いて空間を潰せます。
こちらが加工して空間を潰したホックと未加工のホックの比較画像です。
空間が潰れ、傘の下が凹んでいるのが確認できると思います。
打ちピンにより足が若干広がってしまいましたがこの程度ならジャンパーホックに組み付けられます。
この加工したピンを横から見てみると、僅かですが足が傾いているのが確認できると思います。
これでも慎重に作業したので比較的真っ直ぐ打てた方です。
左が加工したピン。 右が未加工のピン
この曲がりを修正します。
傷つけないように木槌を使って慎重に曲がりを修正します。
当然、足の口が歪んでしまいますが、この程度なら打ち棒で軽く叩けば元に戻ります。
傾きを修正したら、通常のジャンパーホックと同じように革とホックを組み込み、少しづつ打ち込んでいきます。
もし、打ち込むときに曲がってしまうようなら、金属製の棒を足の口に差し込み、てこの要領で曲がりを可能な限り修正します。
以上手の順で打ち込んだジャンパーホックがこちらになります。
きれいに打ち込めるので見た目も大変美しい仕上がりです。手間はかかりますが、ほとんど失敗しなくなると思います。是非参考にしてみてください。
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